美馬市立江原認定こども園
子どもは誰が育てるのか、言わずもがなそれは親である。「親は子どもにとって人生で最初に出会う最も影響力のある『手本』である。」子は親の鏡で知られるド口シー・ 口一ルド著の「こどもが育つ魔法の言葉」の一文である。就学前児重にとって「親」や「家庭」はその後の人間形成の根幹になることは当然であるが、更にその地域の環境風土が加わる。 風土はその土地の固有のものであり、社会の原単位である「家庭」と相まって子どもは成長してぃく、和辻哲郎の「風土」論にあるように国民性を表す大きなファク夕一に風土があり、子どもの成長において自然に人間形成に加わってくる。 従つて子どもを育てるのは又、風土や地域社会でもあるといえる。今この風土や家庭を疑權する状況にあるが!
江原認定こども園のコンセプトは「家」と「風土」である。計画地は南北に流れる曽江谷川沿いの地域幹線道路から約300メートル西へ進入した田園地帯の中にあり、すぐ東には同地域の小学校が隣接する。北に香川県との県境となる讃岐山脈、遥か南には四国山地が望め周辺には藁の民家が散在する。東の小学校校舎も自壁と日本瓦の屋根で構成されている。
この環境に投入される、この度のこども園もおのずと豊の風景に溶け込む姿が基本と考えられ、切妻の瓦屋根とすることにした。それは少し大きな「家」である。ただ. 子どもの施設であることを意識するため楽しさや躍動感の表現として、最も大空間となる遊戯室は円形とし、ドーム屋根で変化をつけることにした.瓦屋根の上には近くにある「卯建の町並み」の卯建を転写している。 ドーム屋根の構造はこの地域の地場産業でもある和傘の骨組をモチーフに使用した。引張、圧縮部材が丁度このフレームと合致することになる。切妻屋根は張弦梁として大スパンを飛ばすことにした。
仕上がった「木の家」が、いつまでも地域に愛されることを望む。